延長10回、先頭の野村佑希選手が右中間への二塁打で出塁すると、5番清宮幸太郎選手がセンター前へ弾き返すサヨナラ安打を放った。これがエスコン初勝利となり、新時代を迎えるファイターズに新たな歴史が刻まれた。

3回2死一、二塁のチャンスで打席が巡ってきた。内角への直球を上手くさばいた打球は、レフト側ブルペンに飛び込む3ランとなった。エスコンフィールド4試合目。4番のバットからメモリアルな一発が記録された。

最終回のマウンドを託されたのは、ここまで中継ぎで登板していた田中正義投手。3人で打ち取り、プロ7年目で初セーブを挙げた。お立ち台では涙をぬぐい「すごく嬉しいです」とポツリ。新天地での飛躍を予感させた。

1点差に迫られた5回、二刀流ルーキーのバットから待望の第1号が飛び出した。打った瞬間に確信する右翼スタンド2階へのソロ本塁打。傾きかけた流れを取り戻す貴重な追加点となった。

完璧な投球だった。最後まで出力は落ちることなく102球、無四球で今季初の完封勝利を飾った。新庄剛志監督プロデュースの限定ユニフォームをまとった選手たちが、NEW AGE GAMESの初戦でカッコいい白星を届けた。

1点を追う6回、レフト側ブルペンに同点本塁打を放った。これで出場3試合連続の一発。新庄剛志監督プロデュースの限定ユニフォームで輝いた。5月13日には移籍後初のお立ち台に立ち「僕が一番似合っていたんじゃないかな」。

中10日での登板、上沢直之投手はイメージ通りの投球で相手打線を翻弄した。打球が直撃するアクシデントがありながらも最終回もマウンドへ。前日9投手が登板したブルペン陣に休養を与えるべく、最後まで投げ抜いた。貫禄の投球で2018年以来の完封勝利だ。

1点リードで迎えた3回、逆輸入ルーキー・加藤豪将選手のバットから待望の一発が生まれた。貴重な追加点で球場を沸かせたが、それだけでは終わらない。5回の第3打席、同じようなアーチで右中間スタンドに2打席連続本塁打を放った。

2点差まで追い上げられた8回、清宮幸太郎選手が自身エスコンフィールド初本塁打をライトスタンドに運んで試合を決定づけた。選手たちも「気持ちいい！」と話した初めてのルーフオープン。気持ちのいい勝利をファンに届けた。

11回1死満塁。球場のボルテージが最高潮になった場面で代打で登場。振り抜いた打球は左翼への犠牲フライに。タッチアップから五十幡亮汰選手がホームベースに滑り込み、歓喜の輪が広がった。

「台湾の大王」が目覚めた瞬間だった。支配下復帰を果たした初戦で、左中間を破る2点適時三塁打を放った。今季は育成契約でスタート。655日ぶりの適時打で復活劇を遂げた。

本塁打王争いを繰り広げる万波中正選手が守備でも魅せた。6回、フェンスにぶつかりながらもジャンピングキャッチを披露。8回無死一、二塁のピンチでは深い位置での右飛から三塁へのレーザービーム送球で補殺を決めた。ビッグプレーの連続に、この日の歓声を一身に集めた。

自身初の1試合2本塁打は、価値ある1発となって刻まれた。2死二塁から7月4日以来約2か月半ぶりの左越え本塁打。2点差に追い上げられた6回、郡司裕也選手のバットからまたしても一発が生まれ、勝利を決める一打となった。

鮮烈に記録を刻んだ。万波中正選手が、自身初となる先頭打者本塁打で布石を打った。同点の9回1死一塁で豪快に振り抜いた当たりは、レフトスタンド2階席に飛び込む特大のサヨナラ2ラン。同一試合での先頭打者弾とサヨナラ弾はNPB史上2人目、パ・リーグでは初の快挙だった。

笑顔と感謝に満ちた最後だった。新庄剛志監督から「7番三塁」でのスタメンを告げられる粋なサプライズ。慣れ親しんだ内野全ポジションについた。「こんなに幸せな日はない」と現役生活にピリオドを打った。